2ntブログ
2014.02.2123:54

【創作】nexaと漂着男女(後編)

nexaと漂着男女(前編)の続きです。)

nexaの3分クッキング(BGM:「おもちゃの兵隊の行進曲」)

 こんにちは。nexaです。今日は予告のとおり蘭子さんの肺と気管と胃を使ったスープの使い方をお教えしましょう。

材料
 蘭子さんの肺 1/2個
 蘭子さんの気管 1個
 蘭子さんの胃 1個
 にんにく 1片
 玉ねぎ 1/2個
 にんじん 1/2本
 オリーブ油 適量
 トマトの水煮 50g
 ブイヨン 400cc
 塩コショウ 適量

作り方
1.まず、蘭子さんの肺、蘭子さんの気管、蘭子さんの胃を洗って食べやすい大きさにカットします。玉ねぎ、にんじんも同様。にんにくはみじん切りにします。
2.鍋にオリーブ油をひき、にんにくを炒めます。程よく香りが出たところで蘭子さんの肺、蘭子さんの気管、蘭子さんの胃、玉ねぎ、にんじんも入れて、玉ねぎが透明になるくらいまで炒めます。
3.トマトの水煮、ブイヨンを入れて煮込みます。(なお、今回はブイヨンもこの前殺した女子高生の肉と骨で出汁を取って手作りしましたが、ご家庭では粉末ブイヨンをお湯に溶いたもので代用が効きます。もちろん女子高生味に比べるとかなり味は落ちますが。)
4.味見をしつつ、塩コショウで味を調えて完成です。

nexaと漂着男女(後編)

 できたスープを2杯、お盆に乗せて2号室へ運びます。
nexa「出来ましたよ」
江藤「すみません」
nexa「いえいえ。どうぞ召し上がれ。私もいただきます。なかなかいけますよ」
江藤「・・・ん、うまいですね」
nexa「そうでしょう」
江藤「なんすか、これ」
nexa「それはイノシシのフワです。こっちはガツ。これはフエガラミ」
江藤「なんすか、それ」
nexa「フワっていうのは肺のことです。ほら、フワフワしているでしょう。ガツは胃袋で、フエガラミは気管です」
江藤「ガツはガツガツしているから?」
nexa「いえ、ガツは英語のガッツが語源です」
江藤「この島で獲れるんですか」
nexa「いえいえ、ここから船で数分のところにあるもうちょっと大きな島で獲れるんです」
 そんな話をしながら食べ終わりました。
江藤「根草さん、それで、蘭子の遺体・・・」
nexa「ああ、そうでしたね。分かりました。来てください」
 そして1号室へ。
江藤「ああ、蘭子・・・どうしてこんな姿に・・・う、うう・・・ん?かすかに血の匂いが・・・」
nexa「そ、そんな匂いがしますか?気のせいでしょう。ところで江藤さん、警察を呼ばなければいけません」
江藤「警察?なぜ?」
nexa「『なぜ?』?これは海難死亡事故でしょう?警察を呼ぶことの何が不思議なのです?」
江藤「い、いや・・・」
nexa「ところが困ったことにこの島は電話が通じていません。江藤さん、携帯電話お持ちですか?」
江藤「あるはずだけど・・・多分海の中です」
nexa「でしょうねえ。かくなる上は彼女の遺体はこの島に埋めてしまおうと思うのです。腐敗して哀れな姿になる前に・・・」
江藤「そ、そうですね」
nexa「ただ、すると2つ問題がありまして・・・変死者密葬罪と言いましてね、変死者を検視を経ないで葬ると最大10万円の罰金が課せられる可能性がありまして・・・もちろんあなたが言いさえしなければ明るみに出ることはないでしょう。黙っていてくれますか?」
江藤「ええ、もちろん。それで、もうひとつの問題というのは?」
nexa「実は蘭子さん、事故死じゃないんです」
江藤「事故死じゃない・・・!?」
nexa「ええ、蘭子さんは殺されたんです」
江藤「・・・だ、誰に!?」
nexa「あなたにです」
江藤「な、何を言うんですか。冗談ならやめてください。恋人を亡くしてショックを受けているのに・・・!」
nexa「いいえ、冗談じゃありません。あなたは蘭子さんに妊娠を打ち明けられ、結婚をせがまれるか中絶費用をせがまれるかしました。それで蘭子さんが邪魔になり、彼女が入浴中に彼女をバスタブに沈めて殺したのです。推理小説の中では人を溺死させるのは簡単です。しかし現実はそうではありません。人を溺死させるのは大変です。蘭子さんは何度かあなたの背中を爪で引っ掻いたり、嘔吐して生き返ったりしました。あなたの背中にできていたミミズ腫れは、さしずめそのときにでもできたものでしょう」
江藤「お、おい・・・」
nexa「それでもなんとかあなたは蘭子さんを殺害しおおせました。しかし殺してしまったものの、茫然自失としていたのか、彼女の遺体をどう処分するか考えていたのか、ボートをチャーターしていたのか、はたまたなんらかのアリバイ工作をしていたのか分かりませんが、とにかくあなたは10時間ほど彼女を床に仰向きに寝かせたまま放置します」
江藤「な、なぜそんな!」
nexa「そしてボートに彼女を乗せて、彼女を海に捨てるために沖に出たのです。ところがあなたは気象情報すらろくに見ていなかったのです。そして彼女をうまく海に捨ておおせたか、または捨ておおせる前に風雨に直撃されて彼女もろとも海に放り出されたか、とにかくボートが転覆してあなたも海へ放り出されてしまったのです。あるいはいまさらの良心の呵責から入水して心中を試みたのかもしれませんが」
江藤「いいかげんに・・・!」
nexa「そしてあなたは気づいたらこの島に漂着していたのです。そして漂着した島の島民から彼女も漂着していることを告げられたのですが、あなたは彼女を溺死させたことを思い出します。浴室で死んだのであれ海で死んだのであれ溺死である以上見分けがつくまいと思ったあなたは、一緒に投げ出されて彼女が溺死したことにしようとしたのです。そして島民はこの島は外部と通信ができないからと彼女を密葬しようとする。警察に通報されるかと思い一時はどうなることかと思ったがこれで助かった・・・と思ったそのとき島民に犯行の一部始終を話して聞かされ茫然としている、というわけです。どこか間違っていたら教えて下さい」
江藤「見てたのか!?」
nexa「何を?」
江藤「殺すところをだ!」
nexa「誰が、誰を?」
江藤「俺が、蘭子を!」
nexa「殺したんですね?」
江藤「そうだよ!俺が蘭子を殺した!だが、なんなんだあんたは!なんで全部知ってる?見てたのか?」
nexa「いいえ。見られていたと思うのですか?」
江藤「いいや!だがそうとしか考えられない。見てないとしたら、いつ気づいたんだ?蘭子が殺されたって」
nexa「最初に彼女の遺体を見た時ですよ。彼女の死体を見てすぐ、これは他殺だろう、少なくとも海難事故や入水自殺ではないと思いました。彼女の遺体には死斑がありましたから」
江藤「死斑?死んでいるんだから死斑くらいできるだろ」
nexa「いいえ。海で溺れ死んだ死体にあんな濃い死斑はできません。死斑というのがなぜできるかと言いますと、人が死んで血流が止まると血液は地球の引力に引かれて体の下のほうに移動し、溜まるのです。それが死斑です。海の中で死んだ死体は潮の流れで動き回りますから上も下もありません。特に船も転覆するような波の高い日には」
江藤「し、しかし水死体は女は胸が浮き袋になって仰向けになって、男は玉の重りでうつ伏せになるって言うじゃないか」
nexa「それはただの俗説です。死斑というのは死体を裏返せば消えて新しく下になったところに移ってしまいます。しかし死後時間が経つと血液の色が皮膚組織に染みこんでしまい、消えなくなります。彼女はうつ伏せになっていました。にもかかわらず死斑は背中にありました。殺してから仰向けで置いておいた証拠です。10時間ほど放置していたというのも死斑の濃さから大体わかります」
江藤「だが、なんで結婚をせがまれてバスタブで殺したってわかるんだ?」
nexa「実は、蘭子さんのお腹を開けて内臓を取り出してみたのです。そうしたら胃には水が入っていて、その水からほのかにバラのような香りがしました。彼女は大量にバラの香りの入浴剤入りのお湯を飲んで、吐いて、もう一度飲んで、死んだのです」
江藤「ちょ、ちょっと待て!蘭子の遺体をどうしたって!?」
nexa「お腹を開けて、内臓を取り出しました」
江藤「なんのために!」
nexa「食べるためです。おいしそうだったので」
江藤「じゃああのスープは・・・」
nexa「はい。イノシシでもウミガメでもなく蘭子さんです。人間って意外と美味しいでしょう。彼女が妊娠しているのも子宮を切ってみて知りました。可愛かったのでセックスもしましたよ」
江藤「この気違いサイコ野郎・・・!」
nexa「失礼なことを言いますね。女性の遺体とセックスして食べるのは性欲も食欲も同時に満たせる最高の趣味なんですよ」
江藤「・・・しかしあんた、一つ大きな間違いをしたもんだね」
nexa「間違い?」
江藤「あんたが俺にもうちょっと休んでろと言って、さしずめ蘭子を調理している間、ちょっとばかり部屋の中を漁らせてもらったよ。護身用かしれないが、こんなものを隠していたんだからな」
 江藤さんの手に拳銃。
nexa「そ、それは・・・!」
江藤「殺したと知られたからには生かしておくわけにはいかないさ。あばよ、サイコ野郎さん」
「パンッ」
 一発の銃声と同時に、その場に倒れこむ江藤さん。
江藤「え・・・?」
nexa「あらら・・・」

 私は電話を掛けました。
「もしもぉ~し新宿二丁目ニューハーフのエリザベスちゃんでぇ~す」
nexa「こんにちは。nexaです」
エリザベス「あぁらnexaちゃんどうしたの~?あたしが愛しくなっちゃった~?」
nexa「いえ、この前あなたに頂いた拳銃なのですが、はい、そうです、あの逆方向に発射するやつ。うちの島に流れ着いた男があれで遊んで死にまして。死体を引き取っていただきたいんですが」
エリザベス「ま~ぁ大変!それで、その人はイケメンなの?」
nexa「え?えーと」
 私はうつ伏せに倒れている江藤さんの髪をつかんで顔を起こし、覗き込みます。
nexa「まあ、そこそこ美男子ではあるんじゃないでしょうか」
エリザベス「も~ら~う~♡持つべきものはネクロフィリア仲間よね~♡」
nexa「それでは明日の早朝の5時ごろ、いつもの港で。はい、よろしくお願いします。それでは」
 さて、邪魔者もいなくなったことですし、また蘭子さんとの逢引きを楽しむこととします。それでは。

(完)
プロフィール

necrolife

Author:necrolife
@necro_lifeの中の人が死体愛を語るブログです。

ツイッターではファンタジーなフィクションで死体愛を語っていますが、ブログでは中の人のちょっぴりリアルな素顔も見せちゃいます。幻想を壊されたくない方はご注意を。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR