朽ちない死体
乱歩『蟲』
彼の慌だしい頭の中に巨大な真空のガラス瓶だとか、死体の花氷だとかの、荒唐無稽な幻影が浮んでは消えて行った。
ジローラモ・セガート
セーヌ川の身元不明少女
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ベニガオザルの屍姦
お久しぶりです。nexaです。前回の更新から4年が経ったのですね。
近況
数年前にコメントやDM等を下さった方へ、今さらお返事するのもおかしいので放置したままになっていますが、この場を借りて改めてお詫びします。
Twitter(現X)のボットもだいぶ前に止まり、Xのアカウントの使い道も半ば放置状態になっています。
が、去年の12月からちょっとだけアクティブになっており、エッチな死体の絵をリポストしたり、ポストをしたりしています。そんなわけでまたときどきこのブログも更新するつもりです。
なぜ復活(?)したかと申しますと、sscoさんという方からお誘いいただき、「妄談 -BOUDAN- Vol.02」というZINEにちょっとした文章を書かせていただくことになったからです。
「妄談 -BOUDAN- Vol.02」ネクロフィリア特集号 参加者一覧
— ssco/ピーキー寿々子 (@ichie_mon) May 8, 2024
※画像は前号のものです。
表紙イラスト∶うみにくさん( @umitonikutai )
以下、敬称略・五十音順。
執筆者
izu(@Corpse_Mania)
犬神るうま(@Ruma2nd)
うみにく(@umitonikutai)
器械(@Masin_Machine)
続きます→ pic.twitter.com/rZYIWqd5KN
ネクロフィリア特集号で、今年(2024年)の年末に発行予定だそうです。
ベニガオザルの屍姦
今年の5月、京都大学の研究者がベニガオザルという猿のオスがメスの死体と交尾をしている様子の記録に成功したというニュースが流れ、話題になりました。
ベニガオザルで「死亡個体との交尾行動」を野生霊長類で初めて記録―霊長類の死生観の解明に迫る極めて貴重な観察事例― https://t.co/Ldj6fXBjqI
— 京都大学 (@univkyoto) May 21, 2024
オスのサルがメスのサルの死体と交尾している様子の写真・動画はリンク先から見ることができます。
オスのサルがメスの死体に対して腰を振る様子は可愛いです。私も女性の死体が好きなので、非常に共感してしまいます。
しかし、ここから研究者の方が「死の概念がないのではないか」という考察に至ったという話には首をかしげざるを得ません。私たち屍姦愛好者には死の概念がないのでしょうか? 死体とセックスをするかどうかと、死の概念があるかどうかは結びつきようがありません。
【創作】ママの教育
***
僕のママは厳しい。毎日何時間も僕を机に座らせ、隣で監視して勉強をさせる。テストの点数が悪いと何時間も怒鳴り、叩く。逃げようとすると、僕を椅子に縛りつけて勉強をさせる。
見たいアニメもバラエティーも見させてくれない。マンガやラノベなんか買ってくれない。買ってくれるのは名前のある文豪の名著みたいなやつだけだ。どうせママも読んだことはないんだろう。マンガよりよほど非教育的なことが書いてあるのに、見てくれと伝聞だけでいいものだと思ってるんだ。「どうせ変なことに使うから」と言って、お小遣いもくれない。だから学校ではいつもクラスの話題についていけなくて、仲間外れだ。いつもからかわれたり馬鹿にされたりする。暴力も振るわれる。でも、学校にはいいやつもいる。ヨウヘイは、僕が話題についていけないのを見かねて、アニメやバラエティーの内容を、ありありと話してくれる。ラノベや漫画を貸してくれる。
あるときヨウヘイは、僕に雑誌を貸してくれた。いつも貸してくれているマンガ雑誌よりちょっとだけ大人向けの、女の人の水着姿が載っている雑誌だ。僕は大喜びでそれを持って帰った。ママにバレないように、教科書の間に挟んで。僕は一刻も早く女の人の水着姿が見たくて、ママの監視下で宿題を終えた。ママは
「ふん、グズのくせにいつもよりは真面目に勉強したじゃない」
と、僕をなじれないことに対して不満げな表情をした。
僕は夕食を食べて、お風呂に入って、部屋に戻った。そしてこっそりと雑誌を開いた。水着姿の女の人の写真が載っている。僕は嬉しくなった。いつか僕も学校で習った性行為というものを、こんな女の人とできるといいな。
そのとき、バンと勢いよくドアを開けて、ママが入ってきた。僕の部屋には鍵はない。隠し事をするといけないからと、つけてくれない。
「わっ!」
僕は慌てて雑誌を隠すが、何かを隠したことがママにはバレバレだ。
「トモヒロ、いま何隠したの!」
「な、なんでもないよ・・・」
ママは僕に掴みかかり、無理やり机から引きはがす。雑誌がママの目に入った。
「何よこれ!」
「ヨ、ヨウヘイが貸してくれたんだ・・・」
ママは僕から雑誌を取り上げ、怒りに任せてビリビリに引き裂く。ママの顔が真っ赤になり、怒りに震え、僕の髪を乱暴に掴む。
「ふざけんじゃないよ! まだガキのくせにこんなポルノを見て! お前みたいなクソガキがこういうものを見るから痴漢したりレイプしたりするんだ! 死ね、性犯罪者! お前は世界で最悪のクソだ! 人格異常者! このクソオスガキ! 育て方を間違えたよ! お前みたいなクソガキを生むんじゃなかった! 中絶するべきだった! 生まれたときに去勢するべきだった! 死ね! お前は出来損ないだ! 私の人生の唯一の汚点だ! 謝れ! 謝れ! 謝れ! 両手をついて土下座して、生まれてきてすみませんでしたって謝れ!」
僕はむせびながらママに土下座をする。
「う、生まれてきて・・・すみませんでしたぁ・・・」
ママは僕の頭をグリグリと踏みつける。
「謝るくらいなら最初からやるな! 謝ったら許してもらえるとでも思ってんのか! 大体お前、本当に反省してんのかよ! こんな最低最悪なことをしておいて、土下座くらいで済むと思ってんのか! そういうところがお前は人格異常者なんだよ! お前みたいなやつがいるから性犯罪が起きるんだぞ! お前なんかに生きる価値はない! クソ野郎! お前はブタ以下だ! 死んだ方がずっといい! お前といるとこっちまで頭がおかしくなりそうだ! こんなクソを産んだなんて私の人生滅茶苦茶だ! もう嫌だ! 死にたい!」
ママはこの調子で延々二時間ほど僕を罵倒し続け、踏んだり蹴ったり叩いたりしてから、自分の部屋に戻っていった。
僕はもうぼろぼろだ。そんなにいけないことをしたんだろうか。僕はふらふらと台所に行って、気づいたら包丁を持っていた。死にたい? じゃあ殺してあげるよ、ママ。
僕はママの部屋のドアを開ける。
「なんだお前まだ反省してな・・・ッ!?」
ママが僕を怒鳴りつけるより早く、僕はママの脇腹に包丁を突き刺した。
「かは・・・ッ」
ママはほとんど何も言わず、その場に倒れた。脇腹からは血が勢いよく迸り、辺り一面が真っ赤に染まる。ママはおしっこを垂れ流して、しばらくピクピクと痙攣して、すぐに動かなくなった。人間ってこんなに簡単に死ぬのか。
最後の最後まで、母親らしい愛情なんてちっとも注いでくれないママだったな。うつ伏せで死んでいるママの間抜けな死に顔を見てやろうと、ママの死体をひっくり返す。するとその顔には、今まで僕に乱暴をしたり罵倒したりしてきたあの怖いママの表情はなくなっていて、目をトロンと開けた優しい表情になっていて、微笑みさえ湛えているように見えた。
「ママって、こんなに綺麗な顔だったのか・・・」
僕は急に、ママに甘えたくなった。そしてまだ体温の残っているママの胸の谷間に、顔をうずめた。服に血が付いたけど、気にしない。ママはやわらかいおっぱいで、僕を包み込んでくれた。僕は生まれて初めて、母親から母親らしい愛情を注いでもらえているような気がした。
「ママ・・・ママ・・・」
僕はママのおっぱいを左右の手で寄せて、顔を挟む。今まで与えてもらえなかった分の愛情を取り戻すんだ。今まで僕にひどいことをしてきた分まで、愛情を注いでもらうよ、ママ。服の上からだけじゃ十分じゃない。ママの服をブラジャーごとめくりあげると、大きなおっぱいがぷるんっと震えた。
「ママ・・・ママのおっぱい・・・僕のママのおっぱい・・・!」
僕はママのおっぱいにむしゃぶりつく。ちゅぱちゅぱとおいしいおっぱいを吸う。そうやってママの胸で幸せな気分に浸っていると、段々とおちんちんがムズムズしてきた。ズボンとパンツを脱いでみると、僕のおちんちんは上を向いていた。学校で習った、勃起というやつだ。どうしよう。
「ねえ、ママ、どうしよう、勃起しちゃったよ。勃起したおちんちんは女の人のおまんこに入れるんだよね?」
僕はゴクリと生唾を飲み込んだ。ママのスカートをめくりあげ、パンティを脱がす。もじゃもじゃと黒い毛が生えそろった大人のおまんこがあらわになる。
「すごい・・・すごいよ、ママのおまんこ・・・ここから僕が出てきたんだね。不思議だなあ」
おまんこをペロペロと舐めると、おしっこの味がした。
「今まで僕に愛情をくれなかったママ・・・ひどいことばかりしてきたママ・・・その分、全部返してもらうよ。ママの愛情、僕にちょうだい!」
僕はママのおまんこにおちんちんを突っ込んだ。すっぽりと収まって、奥まで届かない。ママのおまんこはまだほんのりと温かさが残っているが、ほんのりとしか残っていないことが、ママの死を僕の皮膚に伝える。
にゅるっ・・・にゅるっ・・・にゅるっ・・・にゅるっ・・・
ママの死体の粘膜が、僕のおちんちんに絡みつく。一生分の母の愛情が、僕のおちんちんを、いや、僕の全身全霊を包みこむ。今まで愛情を注いでくれなかったことも、ひどいことをしてきたことも、この愛情で、この幸せで、全部許せてしまう。
「ママ! ママ! 大好きだよ! ママ! ママは最高のママだよ! ママ! 僕、射精するよ! 母親なんだから、息子の性欲、全部受け止めてくれるよね!? ママ! ママーっ!!」
ぴゅーっ! ぴゅっ! ぴゅっ! ぴゅっ!
全身が激しく痙攣し、頭の中が真っ白になる。僕は白く濁った熱い欲望を、ママの膣にぶちまけた。僕がおちんちんから吐き出した欲望を、ママはその膣と子宮でしっかりと受け止めてくれた。もう僕には、ママが今まで僕に母親らしい愛情を注いでくれなかったことやママが僕にしてきたことへの憎しみや悲しみは何も残っていない。死んでから最後の最後に、ママは僕にこんなに素晴らしい母親として愛情を注いでくれたのだから。
僕は今、きっと世界で一番幸せな子だ。ママの死体に大量に射精をしてヘトヘトになった僕は、冷たくなり始めているママの胸に顔をうずめ、そのまま安らかな眠りについた。
(完)
澁澤龍彦『エロスの解剖』より「優雅な屍体について」
澁澤龍彦(1928‐1987)は性にまつわる著作を数多く世に出している評論家ですが、澁澤の『エロスの解剖』(1965年、桃源社刊)には「優雅な屍体について」というエッセイが収められています。
このエッセイはネクロフィリアという現象を経糸とし、様々な事実を緯糸として構成されています。その事実の中には、例えば次のようなものがあります。
・ネクロフィリアという言葉は19世紀半ばごろ、ベルギーの精神科医ギスランによって創始された。死体に性的魅力を感じる傾向を意味する言葉として初めて用いたのはフランスのエポラール博士。
・上田秋成の『青頭巾』。
・ヘロドトス。
・ボオドレエル『悪の華』にはネクロフィリア的な詩がある。
・サラ・ベルナアルは棺桶に入って死者を演じるのを好んだ。
・パリの妓楼には「死体の部屋」があり、レオ・タクシル『当代の売淫』(1892)によれば、ある高僧が死体を演じる娼婦と交わったという。
・ポオ『長方形の箱』『ベレニス』。精神分析学者マリイ・ボナパルトによれば、ポオの性向は幼少期の母の死に関係があるか。
・ポオはのネクロフィリア性はオナニスト・エディプス的傾向があるが、そうでない者もある。古代ギリシャの僭主ペリアンドロスは死んだ妻メリッサと一年間暮らした。カルル大帝はドイツ生まれの金髪美人の死体を手放しかねた。
・ベルトラン軍曹は墓場から死体を発き、犯し、寸断した。
・「ミュイの吸血鬼」ヴィクトル・アルディッソンの例をアレクシス・エポラール博士が報告している。3歳から60歳の女の死体を発掘した。しかし性的凌辱は加えなかった。
マリイ・ボナパルトはアルディッソンについても、幼年時に失った母を死んだ女たちのなかに求めているとしています。澁澤はこのエッセイを次のように締めくくっています。
この解釈が果して正しいかどうか、わたしたちには知る由もないが、少なくともアルディッソンという男を憎む気にはなれない。そうではなかろうか。